Doyu Special Interview 井手 真弓さん

2019.4.4

 

 

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働く喜びを感じる職場づくりに貢献したい
強く・正しく・潔くを信念に

 

特定社会保険労務士として働きやすい職場づくりや助成金を活用した職場改善をサポートすると共に、ワークライフバランスや働く女性のための法律、セクシャルハラスメント、働き方改革等の分野において講演を行なっている。契約先の企業の職場づくりをサポートだけではなく、自身の会社でも社員が明るく元気に、自主性を発揮して働ける環境を目指して、日々努力を惜しまない社会保険労務士法人ALX代表社員、井手真弓さんに話を聞いた。

 

 

社会保険労務士をはじめた理由を教えてください。

 

東京で就職した後、結婚と出産を経て、25歳の時に子供を連れて宮崎に戻ってきました。すぐに職を探しましたが、これから子供を育て上げるまで働き続けることができるのか、そんな職場が見つかるのか焦りました。そこで、年齢や性別に関係なく続けることができる資格を取ろうと決め、仕事をしながら学校に通い、30歳の時に社会保険労務士資格を取得して「井手労務管理事務所」を開設しました。当時はまだ自分が生きていくため、そして子供を育てるためだけに働いていて、社労士受験宮崎教室の講師や行政協力が生活の糧でした。お客様とは、正確な事務処理と丁寧に向き合うことにより、信頼関係を築いていくことができました。当時は自宅の一室を事務所にしていて、忙しい時にはお手伝いとしてパートさんを雇用していましたが、労働時間も休憩時間も自由、緊急時には夜中まで残業することもありました。

 

宮崎県中小企業家同友会に入会した理由を教えてください。

 

子供は無事に成長してくれましたが、成人して家から出ていくと、私自身の目的を失いました。一方で仕事では「ベテラン」と呼ばれるようになりましたが、実態は場当たり的なワンマン経営であり、人が続かず悩んでいました。今思えば、雇っている人は自分の手足に過ぎないと思っていました。そのような状況の中で、私は何のために、誰のために仕事をしているのか、自分にはそんな「核」になるものがないということに気づきました。

 

経営とは何かを学べる場がないかといろいろ探していたのですが、そんな時に宮崎県中小企業家同友会(以下、同友会)の例会を見つけて、行ってみることにしました。そこでは、社員をパートナーと捉えて自分自身の課題に向き合う経営者がたくさんいることに驚きました。グループ討論では、それまでのストレスを洗いざらい聞いてもらい、入会することを決めました。

 

入会して学んでいくうちに、それまでどれだけ自己中心的な経営をしていたのかを突き付けられました。私は何のために仕事をしているのか、それを掴みたくて、同友会が毎年行っている「経営指針をつくる会」を受講することにしました。最初は、経営指針を作ったら同友会も辞めればいい、それくらいの気持ちで始めましたが、多くの仲間に出会い、もっとよい経営者になりたい、同じ立場で学び合いたい、そんな気持ちが高まって学び続けています。

 

経営者としての学びと実践

 

悩んでおられたようですが、学んだことにより経営はよくなりましたか?

 

いえ、そんなに単純な話ではありませんでした。「経営指針をつくる会」を受講して経営指針をつくり、職員さんと共に事務所を経営していこうと頑張りましたが、現実は厳しい状況が続きました。雇用した職員はなかなか定着せず、止むを得ず事務所を縮小、むしろ存続していけるのか苦悩する日々が続きました。「ためらうより飛び込め!」の精神で、存続させる、拡大させるということを決意し、様々な努力を積み重ねてきましたが、それでもやはり職員がなかなか定着せず、離職、入職の繰り返しで、社員教育とクレーム対応に追われ、売上も低迷していきました。そんな時、他県の同友会の会員から言われた「企業の土壌風土をつくることこそが経営者の役割」という言葉が響きました。社長や幹部の仕事は社員とのコミュニケーションが第一である。そして、付加価値の高い仕事づくりが絶対条件である。社員の成長を拒んでいるのは、経営者自身である、つまり私だと気付いたんです。

 

振り返ること
そして展望を語ること

 

同友会では自分自身の経営体験をお話させていただく報告者としての機会をいただくようになり、これまでの学びと活動、そして自社の経営を振り返り、これからの展望について考えることによって、改めて自らの立ち位置を知っていくことに繋がりました。次第に職員が定着するようになり、それに伴って業績も上がり、ようやく軌道に乗せることができました。

 

 

 

 

県内には社労士法人が少なく、宮崎市と都城市の二拠点に展開してるのはALXだけとお聞きしています。そのような中で法人化した理由をお聞かせください

 

社会保険労務士として顧問契約先の労働環境の改善をサポートしてきましたが、私たち自身はどうなのかを考えるようになりました。社労士事務所は、資格を持った社労士がいなくなれば存続することができません。サービスは途切れ、お客様には迷惑をかけ、雇用している職員は職を失います。社労士としての自分に依存しない体制をつくり、職員が安心して働き続けていける職場づくりをしなくてはいけないと思い、法人化に踏み切りました。お客様にはサービスが途切れず安心してお任せいただける体制を、そして自社の職員には成長し続けていける職場、やりがいの持てる仕事を提供できるように取り組んでいます。

 

今は、社員一人ひとりのかけがえのない人生を豊かなものにするために、生活者として個の追及に応えるため、経営者として、全社あげて共に励まし合う職場風土づくりと土壌づくりに取り組んでいます。求めたら必ず得られると信じて、学び続けようと思っています。そして、社員から、お客様から、地域から、「選ばれ続ける」会社にしていきたいです。

 

同友会においては支部代表幹事をはじめ、様々な活動をされていますが、井手さんにとっての同友会とはどんな存在ですか?

 

日々の業務だけをしていると、視野が狭くなり、自分勝手な判断基準に陥りがちです。そんな時、例会に行き、仲間の話を聞いて、様々な考えや価値観に触れ、考えたり気付いたりすることが私にとって大切です。ジムに行ったり整骨院に行って体のコンディションを整えることと似ていますが、私にとっての同友会は、経営者としてのコンディションを整える場であり、行くと背筋がピンと伸びたような気持ちになれます。同友会では理念の中に「よい会社をつくろう・よい経営者になろう・よい経営環境をつくろう」という三つの目的がありますが、それに賛同して集まった仲間たちだという「信頼の土台」があるので、安心して語り合うことができます。そんな仲間がこれからも、もっともっと増えていくと嬉しいです。

 


プロフィール:

社会保険労務士法人ALX
代表社員 井手 真弓さん

1990年に社会保険労務士資格取得。翌年、宮崎市に社会保険労務士事務所を開設。2010年に宮崎県中小企業家同友会に入会、翌年に「経営指針をつくる会(第9期)」を受講。2012年から2017年まで宮崎北支部の幹事を務め、2018年より宮崎北支部代表幹事及び理事に就任する。2017年には都城事務所を開設し、同年に社会保険労務士法人ALXを設立。

 

文・構成・撮影:

竹原 英男
TNAソリューションデザイン株式会社 代表取締役
宮崎北支部・理事・増強本部長・産学官民連携部会MANGO会長


本資料は同友会の会員がゲストや非会員を訪問したり、入会や例会参加をお誘いする際に活用していただくために試験的に増強本部が発行しています。PDFファイルをダウンロードできますので、印刷する等としてご活用ください。

 

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