新しい学びの場を共に創ろう! 自分たちの手で/青年部設立準備会 第一回例会レポート

2019.4.22

 

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青年部設立準備会 第一回例会

新しい学びの場を共に創ろう! 自分たちの手で

 

経営者が互いに学び合う宮崎県中小企業家同友会(以下、同友会)の中に青年部をつくろうと立ち上がった青年部準備会のメンバーにより、記念すべき第一回の例会が行われた。2019年4月17日、会場の宮崎市民プラザには約60名の会員やゲストが集まった。青年部の活動に期待をする若手経営者、新たな動きを見届けようとする先輩会員、友人に熱く誘われてきたゲスト、それぞれの思いが交差して会場は熱気に溢れている。

 

 

自分の存在意義とは
社員の本質的な幸せとは

 

今回の例会は、青年部設立準備会の中心メンバーが座長、室長、そして報告者を務める。経営体験と青年部設立への思いを語るのは三人で、順番にリレー形式で報告を行う。まず最初に大規模収容型のバーを二店舗経営する株式会社アドカム代表取締役の桑山直幸氏(40歳)が登壇。桑山氏は青年部設立後は初代会長に就任する予定であり、この青年部設立準備会を牽引してきた人物だ。店をオープンしたきっかけから、人気店になり何の苦労もなく成功したことで「天狗」になった時期、調子にのって業態の異なる店を開業したがすぐに失敗、そのために会社の経営も上手くいかなくなったことや、そのような時に「社員のせい」にしていた心情を振り返りながら話した。自分の存在意義とは、社員の本質的な幸せとは、自身に問いかけながら「もう一度、地域の業界でナンバー1のお店をつくる」と社員と共に確認し合った矢先に大切なパートナーが退社することになり、さらに深層にある自身の間違いに気づく。

 

 

衝撃を受けた青年部合同例会

 

その時には既に知人の誘いで同友会には入会していたが、ほとんど参加せずにほぼ幽霊会員。様々な失敗を経て、人間尊重の経営を目指す同友会で学ぼうと積極的に参加するようになった時、先輩会員の誘いで福岡市で行われた青年部合同例会に参加する。青年部合同例会とは、九州沖縄各県の同友会の青年部が合同で開催したもので、青年部のない宮崎同友会の一部の会員も、いずれ宮崎にも青年部をつくる必要があると考え、連絡会議に参加する等の関わりを持っていた。その例会に参加したことで桑山氏は衝撃を受け、同時に胸につかえるモヤモヤとした気持ちを抱えるようになった。この気持ちが何なのか、その理由を探し求めるように、その後に続く県外での青年部例会に参加するようになる。

 

青年部は若手の訓練所

 

次にバトンを渡されたのが理美容用化粧品の卸売業をしている株式会社ビューフィールド常務取締役の前島崇志氏(37歳)。父親の会社を継ぐために帰郷し、父親が懸命に勉強している同友会にも入会したが、親子が同じフィールドで学ぶことに違和感を感じ、一定の距離を保って顔を出していた。ある時、父親が入院したことをきっかけに、同友会の中でも様々な役割を担っていた父の連絡担当のつもりで積極的に参加するようになり、ちょうどその時に動き出していた青年部設立を目指すメンバーに出会う。同世代の経営者と話すのは単純に楽しいと感じ、どんどん活動に巻き込まれていくが、沖縄で開催された青年経営者全国交流会(沖縄青全交)で同い年の経営者に出会い、その経営姿勢に衝撃を覚えると共に、自身と比較し悔しい思いに駆られる。父親世代に言われても、有難いお話としか受け止めなかったことが、同世代に言われると逃げ場がなく、とても悔しい。若さならではの「見栄と意地」もパワーとなり、互いにハードルを上げ合う。前島氏はこのような経験談を熱く語り、「事業継承は経営者にとって最も大切な仕事」、青年部は若手の訓練所のようなものであり、未来への投資であると訴える。

 

 

 

次代のリーダーとして全人格的成長を目指す

 

三人目に登壇したのが道路上の区画線や標識、ガードレールといった安全施設の設置や橋梁の長寿命化等の施工管理及び施工を行なっている株式会社南九州みかど代表取締役の迎敦雄氏(37歳)。経営の勉強ができる場所がないかと探していたところ、5年前から購読していたビジネス雑誌のプレジデントで同友会の存在を知る。「社員を解雇するな。われわれが支える!相談しあおう!」という記事を読み、すぐさま入会。経営フォーラムの分科会で、熊本同友会の瀬倉氏(元青年部会長)の経営体験報告を聞き、売上と経常利益の数字を公開して報告する姿にまず最初に驚く。桑山氏らと共に参加した沖縄青全交では、同世代の経営者らが「われわれ青年経営者で世界に誇れる日本の未来をつくろう」、そして「尊敬される次代のリーダーとして全人格的成長をめざそう」と掲げ、懸命に学んでいる姿に感動する。こうして青年部設立の動きに巻き込まれていった迎氏は、入会して一年も経っていないのに、県内他支部の例会にも参加するようになり、次第に同友会そのものを理解するようになった経験から、青年部は同友会の「養成所」としての役割も持つと感じている。また、同世代の仲間と共に少しずつ成長していることを実感している今、それまで社員さえも信用してこなかった自身の傲慢さを恥じ、自社でも社員と共に成長していこうと考えが変わったと言う。

 

 

同世代からの違いに学ぶ

 

こうして三人がリレー方式で自身の体験を熱く語り、再び桑山氏にマイクが戻された。それまで同友会で勉強している時の姿勢は、先輩経営者に教えを乞うという受動的な気持ちであり、主体性はゼロ。胸につかえたモヤモヤとした気持ちの正体は、言い訳が通用しない同世代からの言葉に悔しさを覚えたこと。青年部が必要であり、そう感じた自分が動かなければならないという気持ちになった時、ようやく主体性に火が点いた。桑山氏は、「同友会は違いから学ぶというが、同じはずの人、つまり同世代からの違いに学ぶというのが青年部だ」と主張する。

 

 

経営課題に向き合う

 

三人の経営体験と青年部にかける熱い思いを聞き、参加者全員でのグループ討論に入った。私のグループにおいては、「力が入っていてびっくりした」、「こんなに熱い例会はこれまでなかった」、「他県の同世代から覚悟を求められたんだろう」等の感想から始まった。今回のグループ討論は「あなたの会社の経営課題は何ですか? 青年部活動にどんな学びを期待しますか?」をテーマにしているが、これは青年部設立という会の企画や運営に討論や思考が偏るのではなく、自社や自身の経営課題としっかり結びつけて考え合おうとする青年部設立準備会メンバーの意思が反映されている。従って、グループ内の経営課題を出し合ったが、幹部育成や社員教育、人手不足、職人の高齢化、求人の悩み等、「人」にまつわる課題が多くを占めた。このことからも、若手の経営者が育ち合う環境の必要性は誰もが感じていたようだ。先輩経営者からは「青年部は必要ないと感じていたが、今日の話を聞いて考えが変わった」、「十年前に青年部があれば、自分ももっと違った成長ができていたと思う」等の声が聞かれた。

 

若さゆえの情熱と勢いがある青年部が活性化することは、年齢的に対象外となる先輩経営者の意識向上にも繋がると期待する声もある。今回の例会においても、下から押し上げてくるようなプレッシャーや先達としての責任を感じたり、「我々も負けてはいられない」と感じていた先輩会員は少なくなかったようだ。

 

柔軟性や優しさを求める声も

 

グループ討論の後は、それぞれグループ毎に発表を行なった。「例会の空気が良く、期待したい」や「これまでの支部例会とは違った雰囲気が良い」等の肯定的な意見が多かったが、「他団体の青年部との違いはあるのか」という問題提起も出された。これまで経営課題を人手不足や人材育成と感じていた会員からは「経営課題が変わった。『自分自身の覚悟』が最も大きな経営課題だ」と、今回の例会で大きな刺激を受けたことを示す言葉も聞かれた。また、「傲慢になった若手経営者の鼻をへし折るような学びの場にしてほしい」や「同友会を刺激的にしてほしい」といった期待の声がある一方、「切磋琢磨することや厳しさも大切だが、未熟な若手経営者が学びやすい柔軟性や優しさも欠いてほしくない」といった要望も上がった。

例会の締めくくりでは、座長を務める株式会社 i・Roots代表取締役の山根尚氏が例会を振り返り、様々な意見、指摘を真摯に受け入れ、青年部設立を目指していくことを力強く宣言した。

 

 

他県とも切磋琢磨しよう

 

例会の後は会場を移動して懇親会が開催された。懇親会を仕切るのは本例会の室長であり、「戦いはまだ終わっていない。懇親会までは例会だ」と事前に語っていた株式会社カーオレンジ代表取締役の南平義春氏。見事なファシリテートで参加者の思いを引き出し、大いに盛り上がった。県外から応援に駆けつけてくれた鹿児島同友会の副代表理事兼青年部会長の永田廣樹氏は、「今回の例会は本当に勉強になった。鹿児島の青年部でも大いに参考にしていきたい。これから隣県の青年部として互いに切磋琢磨できることを楽しみにしている」と語った。

 

 

同友会らしい青年部

 

新しいことを始めようとしたり、既存の組織に変化をもたらそうとすると、必ず様々な壁が立ちはだかるが、その全てを学びの機会に変え、前に進もうとする青年部設立準備会のメンバーは頼もしい。そして何より、多種多様なメンバーの立場や考えの違いを互いに受け入れ、尊重し合い、手を取り合うことを既に実現している。そんな彼らによって、厳しさと優しさを兼ね備え、互いに競い合い、励まし合う、同友会らしい青年経営者の学びの場をぜひ確立してほしい。

 

文・構成・撮影:

竹原 英男
TNAソリューションデザイン株式会社 代表取締役
宮崎北支部・理事・増強本部長・産学官民連携部会MANGO会長


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本資料は同友会の会員がゲストや非会員を訪問したり、入会や例会参加をお誘いする際に活用していただくために試験的に増強本部が発行しています。PDFファイルをダウンロードできますので、印刷する等としてご活用ください。