第28回 定時総会レポート

2019.5.7

 

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「人が育つ会社づくり」の総合実践で、組織を拡充し、「地域のインフラ」を担おう

 

第28回 定時総会を開催

 

宮崎県中小企業家同友会(以下、同友会)の第28期(2019年度)の定時総会が2019年4月23日に宮崎観光ホテルにて開催された。定時総会とは、組織において決算期ごとに定時に開かれる株主総会または社員総会であり、同友会においては最高決議機関の会員総会として定義付けられている。組織において定時総会の在り方は様々だが、大抵の場合は前期の活動の振り返りや収支報告、今期の活動方針や役員の採択という構成が多く、形式的な内容及び進行になりがちだ。その点、同友会の定時総会は「自主・民主・連帯」の精神に基づき、しっかり協議をしようとする点が特徴的だ。会員約60名が出席し、開始から議案の審議、採択まで4時間をかけて行われた。

 

 

まず最初に、開会行事の代表理事挨拶として、株式会社MFE HIMUKA(旧 日向中島鉄工所)代表取締役の島原俊英氏が話をした。同友会はそれぞれの会員の企業が「地域のインフラ」となり、地域を支える存在になることを目指していることを確認。また、前期の期首から期末まで純増がわずか7名であったこと、互いの経営について深く知り合えてないことを問題提起した。同友会は、それぞれの経営者が自身の成長のために参加する狭義の「勉強会」ではなく、その学びの必要性を確認し、またその「場」を自ら作り上げ、そして仲間との連帯により地域をよりよくしていく「運動」である。PDCAを回し、「やり抜く力」をそれぞれが持ち、新たな一歩を踏み出そうと力強く訴えた。

 

会員数は3期連続純増だが… 非常に「微増」

 

続いて、田原敬介代表理事(宮崎食研有限会社・代表取締役)により、前期(2018年度)の活動振り返りが発表された。会員数は3期連続で期首を上回ったが、非常に「微増」であり目標に全く遠いこと、青年部設立に向け準備会が立ち上がったこと、「第6回 人を生かす経営全国交流会 in 宮崎」が成功したこと等々が紹介されたが、会員数の横ばいや委員会活動に広がりが見えないといったことを始め、多くの課題が浮き彫りになった期であったという印象が強い。

 

 

 

 

『共に育つ会社』づくり

 

前期の振り返りの後、前期の活動方針であった「地域のインフラを担う」をテーマに、三人の会員が実践報告を行った。一人目は、「地域のインフラを担う『共に育つ会社』づくりへの道 ~三位一体への実践成果と課題への取り組み~」と題して有限会社東栄空調の代表取締役、東郷浩二氏が自社の取り組みを話した。2012年に同友会に入会し、2015年には「経営指針をつくる会」を受講、その後は宮崎北支部の幹事や共同求人委員会等に参加し、その学びの中で経営、会社がどのように変わっていったのかを語った。経営指針をつくり、経営指針発表会を三期連続開催、今期は社員にアンケートをとり指針発表に取り入れ、社員と共に作り上げる経営指針を目指す。社員が、職を探している友人に自社を薦めたというエピソードが印象に残った。また、門川本社工場の新設に伴い、建設費用は金融機関から一定の財務水準を満たした優良企業として認められることによって発行できる「CSR型私募債」にて資金調達。この地元金融機関が取り扱うCSR型私募債は、引受手数料が優遇され、その優遇分を原資として希望する団体等に金銭や物品を寄付することができるため、地域に貢献するという意味で本社所在の門川町役場に寄付を行った。

 

次に登壇したのが、高千穂町と延岡市で美容室を経営する有限会社パルアンドペアの代表取締役、金子隆二氏。「人を生かす経営で逆境に立ち向かう ~課題に真摯に向き合い、第二創業の転換を起こす~」と題して、厳しい美容業界の現状から切り出した。美容室は全国に24万件あり、これは郵便ポストや信号機よりも多く、コンビニエンスストアの4倍以上。しかも小規模事業者が大半を占めるため、日給月給の雇用が多く、労働環境が悪いことから成り手が急激に減少している。経営者としての学びを求めていた金子氏は2004年に同友会に入会。異業種の経営者と真剣に語り合える例会のグループ討論に感動したが、何度か参加しているうちに刺激を感じなくなる。その後、支部幹事に就任、2008年には「経営指針をつくる会」も受講。しかし、社員視点ではなかった経営指針は社内から反感を買い、日向市に支店を出したがわずか二年で閉店を余儀なくされる。これを機に自分自身を変革する必要があると感じ、労使見解(中小企業における労使関係の見解/中小企業家同友会全国協議会発行「人を生かす経営」所収)を何度も繰り返し読み返し、経営者の責任、対等な労使関係等を学び直す。自分が変わらないといけないと気づいた2014年(日向市店閉店の年)を「第二次創業」と位置づける金子氏は、「お客様、社員さん、協力業者様、地域の幸せに貢献していける会社をつくりたい」と締めくくった。

 

 

三人目の実践報告は、優企画株式会社の代表取締役であり、きりしま支部の代表幹事も務める高濱優子氏が、「地域のインフラを担う企業づくりを支える支部活動 ~きりしま支部の仲間づくり~」と題して、主に同友会の役員活動における学びについて話をした。最初は社長(夫)の代理で入会した同友会だったが、支部の幹事を引き受け、少しずつ同友会が理解できるようになった。仲間の顔が見え始めると、例会での学びも耳に入ってくるようになり、経営や同友会に向き合う姿勢が変わったと言う。

 

私は同友会で育てられた

 

高濱氏は「私は同友会で育てられた。この同友会での学びや経験が今の仕事に繋がったと言っても過言ではない」と語る。支部幹事の代表に就任した後は、「同友会で学べることが幸せなことなんだ」という気持ちを胸に、仲間づくり(増強活動)に力を注ぎ、どの支部よりも成果を上げている。代表幹事3期目となる今期は、一人ひとりが主人公になれる支部を目指し、組織編成や例会づくりの見直しに取り組んでいく。

 

 

三名による実践報告が終わると、ようやく2019年度の活動方針案と予算案、そして理事及び会計監査の推薦に移った。全10ページを超える活動方針案は、宮島孝美代表理事(株式会社島大組・代表取締役)によって省略されることなく丁寧に説明された。

 

「活動」から「運動」へ

 

特徴としては、例年活動方針に謳われているものの、なかなか成果が出ない増強の問題を解決するため、組織体制を見直して組織の拡充を図るというもの。理事会、支部幹事会、委員会、部会、事務局が連携して組織を活性化させるため、新たに連絡会議を新設する。運営主義に陥っている現状から、「同友会づくり」の楽しさをしっかり認識し、「活動」から「運動」へと変えていくための具体的な提案が行われた。

 

 

これらの実践報告、活動方針案を踏まえ、数名のグループで討論を行った。「事例に学び、今期取り組むことを語り、それを支える活動方針になっているかを点検しよう」が討論のテーマであり、各テーブルで議論が盛り上がった。グループ発表では、「運動であることを意識できているのか」、「同友会活動の優先順位が低いのではないか、ステータスを感じていないのではないか」、「広報が機能していない」等々、多くの問題提起が飛び交ったが、活動方針の中で強調されている各組織の連携については、概ね賛同する声が多かった。いくつか挙がった問題提起や疑問については、島原代表理事が今期の理事会で継続して検討していくことを約束し、全ての議案を全会一致で採択した。

 

「Vision 30th」から一年

 

宮崎同友会の停滞の10年を振り返り、いま一度活動をつくり直していこうとスタートしたビジョンづくり委員会。それから同委員会が三年の時間を費やし完成させたのが、ちょうど一年前の定時総会で発表された「Vision 30th」であり、2022年の宮崎同友会30周年をどのように迎えるかを描いている。そこから逆算すると、今期の在るべき姿も見えてくるが、現状は非常に厳しい。

 

同友会は、よい会社づくりの経営指針が不可欠であるとし、社員と共に経営指針をつくり上げることや指針発表会の開催を強く推奨しているが、同友会そのものの経営指針とも言える活動方針を、どれほどの会員が主体性をもって関わってつくっているのか。また、会社の指針発表会にあたる同友会における定時総会に、会員400名のうち60名程度の出席という現状をどう見るのか。全社一丸体制であるかと問いかける同友会は、全会一丸だと言えるのか。

 

同友会における支部活動や例会づくりが、経営者としての自身の成長や、自社の経営において重要な学びに繋がると感じている会員は決して少なくない。だからこそ、この10年は停滞していたと言われつつも、28期を迎えることができ、熱心な会員も多い。しかし、会全体を見渡した同友会そのものの「経営」に目を向けている会員がどれほどいるのだろうか。今回の活動方針案にもあったように、それぞれの魅力溢れる活動が連携し、個々はもちろん、各機関においても団結していくことが急務である。そして重要なのは、さらにそこからの前進である。宮崎同友会の良くない傾向でもあるが、手段と目的を取り違えることがある。今回の定時総会において提案された大きなテーマ「連携」やその先にある団結は手段に過ぎず、それらの実現において現場観と全体観を掴んだ先に、組織としての戦略がなければ求める成果は出せない。

 

同友会運動と会社経営は「不離一体である」と、会内ではよく言われるが、往々にして「経営と同じくらい同友会の活動は大切だ」、あるいは「同友会で学んだことを会社経営に活かしているか」等のように、同友会における活動の重要性を強調する場面で使われることが多い。しかし、本来の意味であれば、逆も然り。会社経営で必要なことは、同友会においても必要であり、活動方針に書かれていることは会員一人ひとりが確実に実行に移し、それぞれのプロジェクトにおいてさらに明確な戦略を立て、戦術論まで落とし込み、成果を上げていくことが望まれる。

 

同友会の会員のほとんどは経営者であるため、理念や方針等の経営における上流を非常に大切にするが、川下の戦術論は逆に非常に軽視される傾向がある。事実、この10年で大きく変わった戦術は見られない。最近会内でよく聞かれる「全体観と現場観」や「PDCAをまわす」、「実践力」といった言葉は、このことを間接的に示唆していると個人的には感じている。

 

自社はもちろんのこと、宮崎の同友会そのものが真の「地域のインフラ」となれるのか、今まさに私たち一人ひとりの実践力が問われている。

 


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文・構成・撮影:
竹原 英男
TNAソリューションデザイン株式会社 代表取締役
宮崎北支部・理事・増強本部長・産学官民連携部会MANGO会長

 

 

本資料は同友会の会員がゲストや非会員を訪問したり、入会や例会参加をお誘いする際に活用していただくために試験的に増強本部が発行しています。PDFファイルをダウンロードできますので、印刷する等としてご活用ください。