第4期みやざき共育ち同友塾・第1講レポート

2019.5.9

 

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第4期みやざき共育ち同友塾・第1講

経営指針を軸に据えた経営を高め、全社一丸体制確立を展望する

経営者・幹部(リーダー)がPDCAを回す実践力を磨く

 

多彩、多層な学びの場がある同友会

 

宮崎県中小企業家同友会(以下、同友会)は経営体験報告を聞き、グループ討論で「違いから学び」、各グループの発表と座長のまとめを聞いて自身の気づきと学びへと繋げていく「例会」を主軸として、より専門分野において学びを深める委員会、一定の条件下で学び合う部会、そしてこれらの「場づくり」をしていく支部幹事、委員、理事といった役員活動等の「学びの場」がある。そのどれもが、大きな目的に向かって様々な経験を積み重ねることで学びを得ることに繋がり、講師や先生が一方的に教えてくれるといった類のものではなく、自身が何をどれだけ求め、どれほど真剣に飛び込んでいくのかで学びの質や量は大きく変わる。それらに加え、専門委員会が企画して、目的をより明確化、短期化した実践的な講座もいくつか存在する。新入会員に同友会の基本的な理念を伝えるオリエンテーション、財務諸表の見方や基礎的な経営姿勢について学ぶ経営者基礎講座、経営指針をつくり、発表することを目指す「経営指針をつくる会」等だが、その中に今年度で4期目を迎える「みやざき共育ち同友塾」というものがある。前置きが長くなったが、この第4期みやざき共育ち同友塾の第1講が、2019年4月25日に開催され、7社の経営者及び12名の社員が受講した。

 

みやざき共育ち同友塾とは

 

同友会の理念には三つの柱がある。「いい会社をつくろう・いい経営者になろう・いい経営環境をつくろう」の三つの目的、「自主・民主・連帯」の同友会運動と会社経営の三原則、そして「国民や地域とともに歩む中小企業」。これらの理念の元、同友会の会員は学んでいるが、これらは経営者一人の決意だけでは実現できず、経営者と幹部が一体となり、全社一丸の体制をつくることが不可欠である。このような考えの元に、経営者と社員(特に幹部)が共に育ち合う会社づくりを目指すのが共育ち委員会であり、同委員会がより実践的な学びの場として開講するのが「みやざき共育ち同友塾(以下、同友塾)」だ。

 

第4期 PDCAを回す「実践力」

 

 これまでの同友塾では、1期目に「経営指針に基づく全社一丸体制づくり」、2期目に「社長と幹部・リーダーの指針作成・実践」、3期目に「幹部・リーダーがPDCAサイクルを回す力をつける」をテーマに実施してきたが、今回の4期目は「参加者同士の関わり合いを深め、相互のディスカッションにより点検・助言の場をつくり出す」ことにより、さらにPDCAを回す「実践力」をつけることを目的にしている。第4期の講座は一回5時間、半年間で計6回(第一講~第五講+まとめ)で構成されている。

 

受講動機はリーダー育成の多角化

 

 当社の社員は13名だが、その半数は過去一年以内の入社である。これは既存事業の拡充や新規事業の開始に伴うものであるが、短期間に増員しているため、経営理念や方針を徹底して伝えることはもちろん、幹部やリーダーの育成も重要になる。当社における幹部は、入社12年目になる専務取締役、リーダーは入社8年目で25歳の女性と入社4年目で31歳の男性で構成されている。このリーダー達は、会社の方針の理解や技術面では申し分ないが、戦略立案力やマネジメントの面ではまだまだ勉強が必要な段階だ。そこに今年一月から再入社した執行役員兼部長(31歳)が加わり、戦略立案力の強化を図っているが、彼は急速に成長したベンチャー企業での幹部社員としての経験があり、戦術重視の即効性の高い企画立案力がある。理念を元に旗を振る社長と先を走る専務、次々に戦術立案をしてくる部長に囲まれ、リーダー達にとっては刺激のあるよい環境になりつつあり、マネジメントにおける方法論も確立されていて、あと一つ足りないのが「実践力」。分かっているけど出来ない、ついつい目先のタスクを追って大切なことを後回しにする、そういった状態から、より広い視点で物事を捉え、ロジカルに自身の行動を組み立て、着実に実践していくためには、外的刺激も必要になる。その点、今回の同友塾のテーマ「参加者同士の関わり合いを深め、相互のディスカッションにより点検・助言の場をつくり出し、PDCAを回す『実践力』をつける」というのは、まさにピッタリのOFF-JTだったわけだ。このような理由から、当社では入社8年目25歳の女性リーダーと共に参加することにした。

 

PDCAサイクルとは

 

 ビジネスの世界では「PDCAを回す」という言葉はよく使われていて知らない人はまずいないだろう。品質管理や生産管理などの継続的改善手法であり、ビジネスフレームワークの一つであるということくらいは誰でも知っているが、確実に実践していくのはかなり難しい。あくまでも私見であるが、Plan(計画)については、その正否は別にしてどこの組織、会社でもある程度は立てているのではないかと思っている。しかし、Do(実行)において精度が落ち、Check(評価)においてはほとんど曖昧になり、Act(改善)にいたっては前段階の曖昧さから間違ったものになり、必然的に次のPlanに繋がらず、サイクルにならないといったところが実情ではないだろうか(※ちなみに、PDCAの場合、サイクルというよりはスパイラルアップといった方がイメージに近い)。私は様々な組織に関わっているが、ほとんどこのパターンから外れていない。自社においても次々に大小様々なプランは上がってくるが、必ず「計画を成文化し、成果と課題をまとめるように」と伝えているものの、なかなか最後のAct(改善)どころかCheck(評価)にさえ辿り着かないといった印象がある。計画を立て、実行したら、とりあえず満足してしまい、継続的改善まで意識が働いていないということもその理由だと思われるが、もう一つ大きな要因が「まとめる力」の欠如にあるのではないかと考えている。これは、先日行われた2019年度役員研修会のレポート(Doyu Activity Report File No. 008)にも書いたが、活動の全体像を捉え、その意義を理解し、まとめるべき対象の「本質」を掴める力がなければ、そもそもがまとめることができない。「今回はこれを忘れたから次は気をつけよう」というレベルのことであればそもそも報告書等も必要ないだろうが、様々な視点、視座において分析を行い、本質を見極め、評価をまとめ上げることができれば、人間の心理として次の改善計画も立てたくなるだろう。この「まとめる力」についてもある程度はフレームワークで対応できる部分はあるが、人に接して必要なことを「体験」していくことも重要な要素であり、まさに同友塾ではこの部分に大いに期待している。

 

人が育つ会社づくりと全社一丸体制づくり

 

 第一講はまず最初に、有限会社鉱脈社の代表取締役であり同友会の相談役、川口敦巳氏により「人が育つ会社づくりと全社一丸体制づくり」と題して講義が行われた。主に社員に向けられた内容であり、経営指針づくりに社員の参画を望んでいる社長らの気持ちや悩み、幹部やリーダーの協力が経営に重要なこと、そのために「PDCAを回す実践力」を身につけることが大事なことを説明した。これを受け、社長と社員がバラバラに分けられたグループで討論を行なった。他社の社員の皆さんの話を聞き印象的だったのは、初めて参加する人は「社長に参加しろと言われたから」という理由であるのに対して、二度三度と同友塾に参加している人らは「今度こそは学びを実践力に変えたい」と意気込み、自ら参加を希望していることだ。また、この同友塾に参加している企業の社長は、同友会の活動にも積極的に参加している人ばかりだが、社員の話を聞くと「社長の思いを社員が理解していない」、「経営指針は数字の提示のみで社員が共感できていない」、「社内ではPDCAが全く回っていない」等のように厳しい現実も聞かれた。社長は「難しく言うと伝わらない」と思っており、一方で社員は「もっと詳しく知りたいのに」と思っているというコミュニケーションの「すれ違い」や温度差も多いという意見もあった。

 

 

 

 

「やりっぱなし」が課題

 

 次にワークショップとして、社員を三つのグループに分け、自社の現状と課題を書き出し、グループに分け、それぞれが「自身がやっていくこと」を書き足していくという、いわゆる「KJ法」に近い形でディスカッションを行い、それぞれのグループが発表した。様々な意見が出ていたが、どこのグループでも柱になっているのは「意識の問題」とコミュニケーションだったのが特徴的だ。課題をグループにまとめ、名称をつけると「やりっぱなし」というカテゴリーに入る課題も多く、今回のテーマ「PDCAを回す実践力」にも直結した課題があることがわかる。最後に、会社毎に分かれ、社長と社員と共に「自社の課題解決のため、私たちの同友塾参加のポイントはここだ」をテーマに討論を行い、各社の代表が発表して第一講を終了した。

 

 

 

 

初めて同友塾に参加してみて、確かな手応えを感じたと言いたいところだが、現実は少しモヤモヤした感じを持ち帰ることになったと言った方が適切かもしれない。同友塾の作り手の試行錯誤をリアルに感じると共に、当社から参加した社員は最後まで思考が混乱していたように思える。会社規模、業種、経験、年齢、あらゆる面で共通する部分が少ない社員同士がこれだけ長時間ディスカッションすれば無理もないことだが、この過程がおそらく今後の学びに繋がるのであろう。私が何より感謝したいのは、自ら手を挙げて共に学ぶことを選んでくれる社員がいることだ。幹部やリーダーが育つ会社づくりをするため、経営者も育たなければならないことをしっかり心に刻み、今期の同友塾に取り組んでいきたい。

 

文・構成・撮影:
竹原 英男
TNAソリューションデザイン株式会社 代表取締役
宮崎北支部・理事・増強本部長・産学官民連携部会MANGO会長

 

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本資料は同友会の会員がゲストや非会員を訪問したり、入会や例会参加をお誘いする際に活用していただくために試験的に増強本部が発行しています。PDFファイルをダウンロードできますので、印刷する等としてご活用ください。